風俗営業の許可要件
風俗営業の許可を受けるには、以下の『人的要件』『場所的要件』『構造的要件』といわれる3つの要件をいずれもクリアしなければなりません。
1.人的要件(営業者及び管理者(※)が、風営法的に適格者かどうかという基準です)
営業者及び管理者が次の 1.~9. のいずれかに該当する場合は、許可を受けることが出来ません。
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は無許可風俗営業の罪、18歳未満の者に風営法における接待や接客業務をさせた罪、公然わいせつの罪、賭博の罪、児童買春の罪等各法令に規定される一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
- 風俗営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合は、その役員であった者を含む)
- 風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所の公示日から処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に許可証の返納をした者で返納の日から5年を経過しないもの
- 風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所の公示日から処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に合併により消滅した法人又は許可証の返納をした法人の役員であった者で消滅又は返納の日から5年を経過しないもの(法人の分割についても同様に適用する)
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者。ただし、その未成年者が風俗営業者の相続人であって、その法定代理人が上記 1.~7. のいずれにも該当しない場合を除く。
- 法人の役員のうちに上記1.~7.までのいずれかに該当する者があるもの
2.場所的要件(お店が風俗営業の許可を受けられる場所にあるかどうかという基準です)
場所的用件では、風俗営業の営業所の設置を制限する地域として「用途地域による制限地域」「保護対象施設による制限地域」を設けています。
(1)用途地域による制限地域
お店の所在地の『用途地域』が以下のいずれかに該当する場合は、その場所で風俗営業の許可を受けることは出来ません。
- 第1種低層住居専用地域
- 第2種低層住居専用地域
- 第1種中高層住居専用地域
- 第2種中高層住居専用地域
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
一方、許可を受けることが出来る用途地域は下記の通りです。
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
- その他用途が指定されていない地域
但し、東京都の場合は、例外として次の地域で風俗営業の許可を受けることが出来ます。
⇒商業地域及び近隣商業地域に隣接する20m以内の第2種住居地域及び準住居地域に営業所がある7号営業及び8号営業。
(2)保護対象施設による制限地域
上記「(1)用途地域による制限地域」の要件をクリアしても、お店の場所から半径100m以内に『保護対象施設』といわれる、学校・図書館・児童福祉施設・病院・診療所(患者を入院させるための施設(病床)を有するものに限る)がある場合は、その場所では風俗営業の許可を受けることは出来ません。
但し、東京都の場合は、東京都公安委員会規則で次のように要件が緩和されています。
-
お店の所在地の用途地域が『商業地域』である場合
- 学校(大学を除く)・図書館・児童福祉施設(助産施設を除く)が存在していても、その敷地から50m以上離れていれば風俗営業の許可を受けることが出来ます。
- 大学・病院(第1種助産施設を含む)・診療所(病床数8床以上)が存在していても、その敷地から20m以上離れていれば風俗営業の許可を受けることが出来ます。
- 第2種助産施設・診療所(病床数1床以上7床以下)が存在していても、その敷地から10m以上離れていれば風俗営業の許可を受けることが出来ます。
-
お店の所在地の用途地域が『近隣商業地域』である場合
- 大学・病院(第1種助産施設を含む)・診療所(病床数8床以上)が存在していても、その敷地から50m以上離れていれば風俗営業の許可を受けることが出来ます。
- 第2種助産施設・診療所(病床数1床以上7床以下)が存在していても、その敷地から20m以上離れていれば風俗営業の許可を受けることが出来ます。
保護対象施設までの距離制限 | ||
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用途地域 | 保護対象施設 | 保護対象施設までの距離 |
商業地域 |
|
50m以上 |
|
20m以上 | |
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10m以上 | |
近隣商業地域 |
|
100m以上 |
|
50m以上 | |
|
20m以上 | |
その他の地域 |
|
100m以上 |
※お店が風俗営業の許可を受けられる用途地域とそうでない用途地域にまたがっているという場合は、その場所では風俗営業の許可を受けることは出来ません。
場所的要件まとめ
まずは、お店の用途地域を調査します。
次に、風俗営業が可能な用途地域であれば、各用途地域に基づいてお店から保護対象施設までの距離を確認します。その距離がクリア出来れば風俗営業の許可を受けることが出来ます。
場所的要件の例外(特定地域)
保護対象施設からの距離にかかわらず、風俗営業が可能な地域を『特定地域』といい、東京都の場合は以下の場所が特定地域に該当します。
中央区 | 銀座4丁目~同8丁目まで |
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港区 | 新橋2丁目~同4丁目まで |
新宿区 | 歌舞伎町1丁目、同2丁目(9番、10番及び19番~46番まで)、新宿3丁目 |
渋谷区 | 道玄坂1丁目(1番~18番まで)、同2丁目(1番~10番まで)、桜丘町(15番、16番) |
3.構造的要件(お店の構造又は設備が風俗営業の許可に適合しているかどうかという基準です)
主な要件としては、以下のようなものがあります。
-
客室(※)の床面積
1号営業 客室の床面積が1室66m²以上で、その内ダンスをさせるための床面積が約5分の1以上あること。 2号営業 客室の床面積が1室16.5m²以上(和室の場合は一室9.5m²以上)あること。(但し、客室の数が一室のみの場合はこれらの数値に満たなくても問題ありません) 3号営業 客室の床面積が1室66m²以上で、その内ダンスをさせるための床面積が約5分の1以上あること。 4号営業 ダンスをさせるための床面積が66m²以上あること。 5号営業 客室の床面積が1室5m²以上あること。 7号営業及び8号営業では客室の床面積の規定はありません。
-
客室の内部が、お店の外部から容易に見通せないこと。(7、8号営業は除く)
※お店に窓があるような場合は、窓にシート等を貼り付けて外部から客室が容易に見えないようにする必要があります。カーテンやブラインド等では実地調査時に不可となりますので、ご注意下さい。 - 客室に見通しを妨げるような高さ1m以上のつい立や仕切り等がないこと。(6号営業は除く)
- 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物等を設けないこと。
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。(但し、営業所外部に直接通ずる出入口は除く)
-
客室の明るさ(照度)
- 1、2、3、5号営業:5ルクス以上。
- 4、6、7、8号営業:10ルクス以上。
※店内の照度をコントロール出来る『調光器(スライダックス)』については、基本的には調光器を使用し最も暗くなった場合でも5ルクス以上の照度があれば、調光器自体は設置されていても良いはずですが、東京都の場合は取り外すよう指導されます。
ちなみに、5ルクスとはお店のソファもしくはイスに腰掛けた状態で、テーブル上の新聞が読める程度の明るさです。 - 条例で定める騒音又は振動の数値に満たないようにするための必要な構造又は設備を有すること。
- ダンスが出来るような構造又は設備を有しないこと。(2、5、6号営業のみ)
- 異性を同伴する客の休憩用に使用する長いす等の設備を設けないこと。(6号営業のみ)
- 営業に使用する遊技機以外の遊技設備を設けないこと。(7号営業のパチンコ屋のみ)
- 客の見やすい場所に賞品を提供する設備を設けること。(7号営業のパチンコ屋のみ)
- 紙幣を挿入できる遊技設備や客に現金、有価証券を提供するための装置を有する遊技設備を設けないこと。(8号営業のみ)
- 風俗営業とは
- 風俗営業の種別
- 風俗営業の許可要件
- 風俗営業許可申請スケジュール
- 風俗営業許可申請に際してご用意頂く書類等
- 許可取得後の注意点