許可取得後の注意点
風俗営業者の遵守事項
1.構造及び設備の維持
風俗営業者は、善良の風俗の保持等を図るため、風俗営業の許可取得後も許可を受けた際の営業所の構造及び設備の基準を維持することが義務付けられています。
なお、営業の同一性を失わない範囲内において営業所の構造又は設備を変更する場合には、その変更の態様に応じて、変更承認申請又は変更届出の手続きが必要となります。
※当事務所では、上記営業所内模様替えや改装に伴う変更届出書及び変更承認申請書の作成も承っておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
2.営業時間の制限
風俗営業店の営業時間は、原則として午前6時から午前零時までであり、それ以外の時間は営業出来ません。(4号営業、5号営業を除く)
但し、例外として都道府県条例の定めによって、午前1時まで営業が出来る地域もあります。
※時間外営業違反は、営業停止等の行政処分が科せられますのでご注意下さい。
3.照度の規制
風俗営業者は、営業所内の客室部分等で測定する照度を、風俗営業の種別に応じて下記の数値以下としてその営業を営んではならないと定められています。
- 1号営業、2号営業 :5ルクス
- 3号営業、4号営業、5号営業 :10ルクス
- 特定遊興飲食店営業 :10ルクス
- 深夜酒類提供飲食店営業 :20ルクス
他にも、下記のような遵守事項が定められています。
- 騒音及び振動の規制
- 広告及び宣伝の規制
- 料金の表示義務
- 年少者の立入禁止の表示義務
- 接客従事者に対する拘束的行為の規制
- その他、都道府県条例で定める遵守事項
風俗営業者の禁止行為
風俗営業者は、下記事項を禁止されています。
- 当該営業に関し客引き(※)をすること。
- 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
- 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせたり、客の相手となってダンスをさせること。
- 営業所で、午後10時から翌日の午前6時までの時間において、18歳未満の者を接客業務に従事させること。
-
18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること。
(但し、5号営業については例外があります) - 営業所で、20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。
許可証の掲示義務について
風俗営業者は、許可証を営業所の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。
この場合の許可証というのは、許可証のコピーではなく必ず原本を掲示する必要があります。
※許可証の掲示義務違反は30万円以下の罰金となりますのでご注意下さい。
名義貸しの禁止について
名義貸しとは、許可を受けた者が自ら直接風俗営業を営まず、単に表面的に自己が営業者であるかのように装いながら、実質は他人が営業している状態をいい、風営法第11条で禁止されています。
※名義貸し違反は2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれが併科されますのでご注意下さい。
従業者名簿について
風俗営業者は、営業所ごとに従業者名簿を備え、名簿には営業に係る業務に従事する者の氏名及び住所等の事項を記載する必要があります。
※名簿の備付け義務違反は100万円以下の罰金となりますのでご注意下さい。
従業者名簿の記載事項は以下の通りです。但し、接客従業者の「生年月日」「国籍(地域)」を記載する際には、接客従業者より運転免許証・住民票・パスポート・外国人登録証等を提出してもらい、「生年月日」「国籍(地域)(日本人の場合は本籍)」を確認する必要があります。
その上で、これらの確認書類の写しを従業者名簿と一緒に保管して下さい。
記載事項
- 氏名
- 住所及び電話番号
- 性別
- 生年月日と風俗営業者が確認書類によってこれを確認した年月日
- 国籍(地域)と風俗営業者が確認書類によってこれを確認した年月日
- 従事する業務の内容
- 採用年月日
- 退職年月日
- 退職事由
※従業者名簿は、従業者が退職(又は解雇・死亡)の日から起算して3年間は保管が必要です。
外国人ホステスの雇用について
雇用することが出来る外国人ホステスは、以下の方のみとなります。
- 特別永住者
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
※もし、上記以外の在留資格の方をお店でホステスとして雇用した場合には「不法就労助長罪」となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(併科あり)という重い処罰を科せられます。
※留学生や就学生は、資格外活動の許可を受ければ、1日4時間以内のアルバイトが可能ですが、風俗営業店でホステスとして勤務することは認められていません。
また、『興行』の在留資格の外国人が、風俗営業店において接客行為を行うことも認められていません。
変更届について
風俗営業の許可取得後、以下のような変更があった場合には、変更のあった日から10日以内、★印のものは20日以内に、お店の所在地を管轄する警察署を窓口として、各都道府県公安委員会に『変更届出書』を提出しなければなりません。
- 法人営業者の商号、所在地の変更★
- 法人営業者の役員の変更★
- 法人営業者の役員の氏名、住所の変更★
- 個人営業者の氏名、住所の変更
- 管理者の変更
- 管理者の氏名、住所の変更
- 営業所名称(店名)変更及びビル名変更や住居表示に伴う営業所所在地の変更
※当事務所では変更届出書の作成も承っておりますのでお気軽にご相談下さい。
管理者講習について
風俗営業店の管理者に選任された方は、その業務を適正に遂行するために定期的(約3年に1回)に、公安委員会から委託を受けた風俗環境浄化協会が行う管理者講習を受講する義務があります。
やむを得ない理由以外により、管理者講習を受講しなかった場合には、営業停止等の行政処分が科せられますのでご注意下さい。
管理者講習の案内は、公安委員会から、実施予定日の30日前までに、お店のポストに管理者講習通知書というハガキが届きます。当日の講習時間は4~6時間となっており、管理者証とハガキに記載されている講習費用を忘れずご持参下さい。
病気、事故、災害その他やむを得ない理由により管理者講習が受講出来ない場合は、実施予定日の10日前迄にその旨及び理由を記載した書面を公安委員会に提出しなければなりません。
廃業について
風俗営業を廃業する場合は、廃業した日から10日以内に、営業許可証を『返納理由書』とともに、お店の所在地を管轄する警察署を窓口として、各都道府県公安委員会に返納しなければなりません。
各都道府県条例による遵守事項
風営法により定められた遵守事項のほか、各都道府県の風営法施行条例により定められた遵守事項があります。例えば、東京都の風営法施行条例では下記のような規定があります。
(風俗営業者の遵守事項)
第七条 風俗営業者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
一 営業所で卑わいな行為その他善良の風俗を害する行為をし、又はさせないこと。
二 客の求めない飲食物を提供しないこと。
三 法第十七条の規定により表示する料金以外の料金を客に請求しないこと。
四 営業所において客を宿泊させ、若しくは仮眠させ、又は寝具その他これに類するものを客に使用させないこと。
五 営業中において、営業所の出入口、客室等に施錠をし、又はさせないこと。
六 営業所において、店舗型性風俗特殊営業(法第二条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業をいう。以下同じ。)、受付所営業(法第三十一条の二第四項に規定する受付所営業をいう。以下同じ。)又は店舗型電話異性紹介営業(法第二条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業をいう。以下同じ。)を営み、又は他の者に営ませないこと。
七 とばくその他著しく射幸心をそそるような行為をし、又はさせないこと。
八 営業所の周辺において客が投棄したと認められるごみ又は排せつ若しくは吐しやしたと認められる物を放置したままにしないこと。
2 法第二条第一項第四号及び第五号の営業を営む風俗営業者は、前項に規定するもののほか、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
一 客相互の行う遊技の結果に対して賞品を提供しないこと。
二 客に提供した賞品を買い取らせないこと。
三 営業所(まあじやん屋及び飲食店営業と法第二条第一項第五号の営業とを兼業している営業に係る営業所を除く。)において、客に飲酒をさせないこと。
- 風俗営業とは
- 風俗営業の種別
- 風俗営業の許可要件
- 風俗営業許可申請スケジュール
- 風俗営業許可申請に際してご用意頂く書類等
- 許可取得後の注意点